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お城です。

A3!ストーリー感想⑮〜Fallen Blood

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多分この話が公演ストーリーの中で一番好きです。
このストーリー、ホント、全部良いですよね。下手したらその一言で感想が終わってしまう。



Fallen Blood

このストーリーを初めて読んだときはボイスがついてなかったんですが、インタビュー時の臣くんはボイス無かった時の方が良かったなあと個人的に思います。
いやここだけボイスがつかない訳ないし、状況的に臣くんが撮影してるのも分かりきってはいるんですけど、初見の当惑が良かったんですよね。何これ!?何が始まってる!?みたいな。

十座のためにビデオインタビューを撮ろうというコンセプト本当に良いですよね。構成も凄く良いというか……。秋組はこういう他にない演出が多い気がしてて、つい前のめりになって読んじゃうな。第三幕でも摂津万里のポートレイトから始まるじゃないですか。でも読み手って「摂津万里」のことなんて知らないんですよ。まず「これは誰?」「MANKAIカンパニーの話は?」と疑問が浮かんで、いざ摂津が出てくるとド畜生で「あのモノローグの真相は?」って気になって物語の続きが読みたくなるんですよね。続きがとにかく気になる!!ってなる作り方がうまいなあと柏手打ってしまいます。

殻を破りたい、芝居の幅を広げたいと悩む十ちゃん。今回のメインです。というか大学生の臣くんを久しぶりに見たらなんかドキドキしちゃうな……。

バンチャリと十ちゃんの関係ホント好き。

十ちゃんって本当に真っすぐなんだよなあ。自分の欠点に対しても真っすぐ向き合ってしまうんだよね。それはもちろん悪いことじゃないけれど、追い詰めすぎるのは良くない気がします。

十ちゃんは講師の方から「技術面で摂津を超えることはないけれど、“いい役者”になれない訳ではない」と言われます。しかし今の十ちゃんにはこの言葉の真意を理解できません。今のバンチャリと十ちゃんの公演とか観たいなあ。A3ならいつかやってくれるかも。

次の秋組公演は十ちゃんが主演です。
ヒーローものを裏側から描く案が出ます。しかし十ちゃんは自分の殻を破ることにこだわり、自分が今まで演じたことの無いタイプの役柄を望みます。でも周囲からは反対されてしまいます。誰も悪くない意見のぶつかりって切なくなるねえ。


~ここから綴オタク~
いや私ね皆木綴くんがA3の中で多分一番好きなんですけど(箱推しオタク故に言い切れない日和りオタク)いやぶっちゃけA3ハマった時から一番好き!!!みたいなのでは無かったんですよ。綴に抱いてたのって言ってしまうとおもちゃ的な好意で、綴が居るとおもしろ~いワハハハみたいな。でもこの十座のために九門にインタビューしに行くシーンにめちゃくちゃ衝撃受けたというか心打たれたんですよ。えっ!?!?めっちゃ良いやつじゃんこの人ここまでする!?って。そんで綴にとって脚本は役者に宛てたラブレターなんだって話を聞いてめちゃくちゃ納得したんですよね。ラブレターって雑に書く人ってまあ居ないと思うんですよ。そりゃここまでする?ってぐらい丁寧に真摯に向き合うよね。
今まで綴のことオモシレー男としか思ってなかったのですが、ここで「この人……めちゃくちゃ良い人!?」ってことに気が付き(気付くの遅くない?)親愛度急上昇しました。

~終わり~


十座も誰かのヒーローだったはずってめちゃくちゃ良いセリフですよね。綴って感性や視点がプレイヤー側に近いので、共感だったりハッとさせれることが多いです。そして今まで他人に勘違いされることの多かった十座のことを理解してくれる人が家族以外にも現れたんだなあと思うとグッと来ます。

十ちゃんのなりたい役者像がまんま摂津だと指摘されます。どうしてもバンチャリのことが気になっちゃうんだよね。自分に無いものを持っている人って良く見えちゃうよね。しかもバンチャリって十ちゃん視点だと気持ち良く尊敬させてくれない相手じゃないですか。だから余計に躍起になっちゃうのかなあ。

「将来なりたい役者像を考える前に自分が今どんな役者なのか考えろ」と言われます。うーんあまりにも良い講師!
しかし十ちゃんは、また「摂津」とは違い自分自身を客観的に見ることが出来ないと塞ぎこみます。
ここでビデオの真意が分かります。
十ちゃんに「客観的な役者・兵頭十座」を教えるために臣くんが始めたんですね。
良……良すぎ……。
何が良いのかを説明するのが野暮なぐらい……良い。

太一インタビューの端役でも無駄じゃなかったって語られるの胸がキュンとする。過去があって今があって、生きてるから未来があって、でもいつ終わりが来るかわからないから今を生きるんですよね……。オヨヨ……。
みんなが十ちゃんのために何かしたいってなるのって、自分が主演をした時に周りに助けられた経験があるからなんだよね。それだけでも十ちゃんが秋組最後の主演というのが活きている。そしてここで「役者兵頭十座」にしか出来ないことが語られるんよね。

雄三さんが相手だと子ども扱いされる古市くんso cute……。
いや私、仁侠伝もめちゃくちゃ好きで……。仁侠伝の話は任侠伝の感想へ……。
A3!ストーリー感想⑦〜任侠伝・流れ者銀二 - シアワ星


マジでバンチャリと十ちゃんあまりにも……。ツインテールズなんよ!!!
えも(久保田未夢)&あんな(芹澤優) ツヨキ!ツインテールズ 歌詞 - 歌ネット


ライバルの存在って凄く尊いよね。古市くんにもライバルが居たら芝居を続けることが出来たのかもって言う雄三さん……。過去の「かもしれない」話ってとても切ないというかやりきれないよね。でも、芝居を続けなかったからこそ、今の仲間に出会えたんだよね。良かったね古市くん。

そして臣くんインタビュー。尊敬している部分はみんな同じだった。そして臣くんの口から語られる「尊敬するところ」。いや、ストーリーの構成良すぎるぜ。ベタだけどそれが良い!!!!!!!そして私、爆泣き。

自分が尊敬して追いつけないと思っていた役者達がみんな十座に影響受けてたってなんか、も~~~~……。それってとても凄い強みに思えませんか??
ここでバンチャリが長尺で語るの良すぎ!?!?!?
ここまで来てまだ稽古してないんだよね。初期のストーリーって役をどう演じるかを悩む話が多い印象なんですが、それってそもそもの芝居スキルが低いからなのかなあとか思えます。みんな成長してるんやね!

そしてやっとここで今回の脚本が出てきます。
読み終わった十ちゃんの反応が見たくて頑張って起きてた綴クン、愛じゃん……。臣くんが撮ったインタビューもね、愛なんですよ。愛って仁侠伝でも主軸にあったと思いますが、やっぱね、兵頭十座には愛があるんですよ。私は十ちゃんのキャラテーマのひとつに「愛」があると主張します。いろんな人から愛されていた訳じゃないかもしれないけれど、その分十座を取り巻く愛って深いんじゃないかと思います。多分その中で十ちゃんに一番強い愛を抱いているのはバンチャリですね。(執着とも言う)


誰かを演じるのは本来の自分から逃げることじゃない。
役を演じながら自分自身を表現することだ。


十ちゃんがこう思えるようになったのとても良い……。芝居は「嫌いな自分からの逃避」じゃない。十ちゃんって「役者」に対して容赦なく向き合っていくのでストーリーの読み応えが凄いです。

公演内容もめちゃくちゃ好きです。
普通に話も良いのですが、兵頭十座のために書かれた物語と思うと更に良い。
ブラッドがスポットライトを浴びることって無いんですよね。世間に評価されることはないけれど、分かる人には分かる。それがブラッドであり兵頭十座なんだよね。
またヒューイとブラッドの衣装デザインも良いよね。二人ともフード付きの服を着ているんだけどブラッドはフードにさらに帽子を被ってて。どこまでも影なんだね。
そして十座に寄せて作られたブラッドだから、十座は誰よりもブラッドに寄り添うことが出来る。それは十座にしか出来ない芝居。いやあもう自分の強みが分からないという悩みへのアンサーとしてあまりにも良すぎるのでは?なんか私のA3の感想って「良すぎる」しか書いてないよね。自分よ、もう少し頭使って書いて欲しい。
ヒューイも演じているのが臣くんじゃなかったら全然違うキャラに見えそうだよね。臣くんが演じていると、ヒューイは称賛には全く興味ないどころか嫌そうにも見えるなあと個人的に感じます。
終演後、ずっと昔から十ちゃんのことを理解している椋九が楽屋に……涙涙 この空間には愛しかないんか?

そして最後に十座へのインタビューを撮る臣くんですが……粋すぎる!

自分にないものを持つ他人を尊敬していると言う十ちゃん。やっぱり人に対して愛が深いんだろうな。そして負けたくないライバルが居て、目標があるからずっと走っていけるんだね。

自分にとって分不相応だと思えるものでも、夢を見るのは俺たち生きている奴らの特権だ。

臣くんが言うと重みが凄いよ。心への刺さり具合がエグイです。この言葉を忘れずに生きていきたいです。

まとめ
全部良い